もちがい の 所感メモ

主に演劇や人生の感想を書きます。

『未練の幽霊と怪物』感想

6月13日(日)マチネ@KAAT神奈川芸術 大スタジオ
『未練の幽霊と怪物』挫波 敦賀
作・演出:岡田利規さん

席はセンターよりだけど少し後ろめ。

能のフォーマットを借りた音楽劇、とのこと。
絶え間なく産み出される「未練」について。
森山未来さんとか石橋静河さんが出ているように、身体表現系。


音、めちゃくちゃよい。
謎の楽器を使って奏でられる音楽、というより個人的には音だけど、とにかく音がよい。
不穏で不思議でどことなく和。
音に委ねておけばこの舞台は楽しめるんだと思えた。
好きでした。

でも開演前の案内が左のスピーカーからしか出てなくて右死んじゃってるのか一瞬不安になった。
そういう演出でした。


舞台、上に白い板みたいのが吊ってあって低い天井(能舞台?)を表現してある。
上から見下ろす客席だったので、始まる前は目障りだなと思ったけど始まってからはあまり気にならない。
客席のあかりも結構ついてて、いつも見てる演劇とは違うのね、と思った。
てか上の板、レフ板みたいな感じかと思ったけどどこから光当ててたんだろ。
灯体の向き方もシンプルですき。


役者。
おそらくみんなうまかったのですが、正直あまりわからず。
身体表現の見方が養われていないことを痛感した。
わたしの力不足。
片桐はいりさんのセリフがうまく聞き取れなかった。
耳に集中してなかったのもあり、動きながらのセリフってブレスでわかんなくなっちゃう。
でも声が耳障りな人おらず、後ろの音ジャマせずで嬉しかった。


脚本、演出。
脚本はあまり好きでない。
能のフォーマットのためなのかもしれないけど…。これもわたしの勉強不足ですね。
全てを言語化していくの、歴史背景とか感情の理由まではいらなくない?
そこを体で見せてくれるんだと思っちゃってた。


その他、雑感。
未練が生まれたり見て見ぬふりしたりっていうのはずっと起きていることだから、普遍的な能のフォーマットにしたのかな?
あんまり有効にはたらいていると思わなかった。

社会問題テーマにした作品において、現実に起きた出来事の経緯を詳しく説明されると、一気に説教くさく聞こえてしまう。
こういう見方もあるよね、くらいにしといてくれ。

カーテンコール、3回もするほどみんなよかったのかと驚く。
やはり身体表現あると見方違うんだろうな。
わたしみたいなペーペーだと本当の意味では見られてない感じ。
いろいろ見なくては。

と、カーテンコールつながりで、出演者のハケ方。
おじぎしたあと勢いよく、ほんのり笑顔で顔を上げ、ちょっとジャンプしてから走るようにハケていく…。
これを「ミュージカルハケ」と呼んでます。
森山未來さんはミュージカルハケでした。
別に良いも悪いもないのでニュートラルな感情ですが!


あー、KAATひさしぶりに行った。いい劇場よね。
また見るものを決めなくては。